空き家の売却における特別措置法とは?税制優遇措置の適用条件とメリット

近年、都市部の住宅街では、長い間人が住んでおらず管理もされていない状態の空き家が増加中です。
老朽化した空き家は倒壊の危険があるだけではなく、長い間放置されている庭木が生い茂り、害虫が大量発生したり、街の景観が壊されたりなど、さまざまなトラブルの原因にもなります。
また、空き家に侵入者が寝泊まりする、放火されたなどの事例も少なくありません。
そのため、犯罪面でも危険を伴うため、空き家の増加につれて付近の苦情やトラブルも増えていることが現状です。
それでは、空き家にはどのように対応することが適切なのでしょうか?
そこで今回は、空き家の売却(譲渡)における特別措置法についてと税制優遇措置の適用条件とメリットをご紹介します。
空き家を売却(譲渡)した際の特別措置法とは?
空き家を売却した際の特別措置法とは、「空き家の発生を抑制するための特例措置」として適用される「譲渡所得の3,000万円特別控除」のことです。
住居を相続して空き家となった場合にこの制度を適用することで、空き家や敷地を譲渡する際の譲渡所得から3,000万円を特別控除することができます。
つまり、本来であれば掛かるはずの税金が大幅に軽減されるのです。
適用のためには複数の条件がありますが、譲渡する側にとって非常にメリットがある制度となっているため、しっかりと確認しておきましょう。
空き家が増えた背景
従来の税制では、建物が建っている土地の固定資産税は、建物がない土地の1/6でした。
つまり、空き家を壊してしまうと6倍の固定資産税を払う必要があるため、住む人がいないまま放置されているケースが多かったのです。
また、土地を売却(譲渡)しようとしても、老朽化した家屋があってはなかなか売れません。
建物を解体して更地にして売るには解体費用が掛かります。そのため、管理をせずに、放置される空き家が増えてしまったのです。
このような状態を打破するために、税制において2016年4月より特別措置法が新たに設けられました。
特別措置法の適用条件

空き家の発生を抑制するための特別措置が適用されるには、以下の条件をすべて満たしている必要があります。 空き家の除去(解体)・改修に対する助成金も 特別措置法を適用することで、税額の負担が大きく控除されます。例を見ながら確認してみましょう。
今回は、空き家の売却(譲渡)における特別措置法についてと税制優遇措置の適用条件とメリットをご紹介しました。
自宅ではない家を売却(譲渡)した場合、高い税率が掛かるために控えていた方も多いと思います。
しかし、特別措置法の適用条件がすべて当てはまる場合は、控除を受けられるようになったため、今までよりも多くの利益を得られるようになりました。
空き家を抱えている方は特別措置法のことを考慮して、ぜひ検討してみてください。
1.相続開始の直前まで、父母等の被相続人が実際に住んでいた家とその敷地であること。
2.家屋はマンションなどの区分所有建築物ではなく、戸建てであること。
3.昭和56年5月31日以前に建築されている、旧耐震基準の住宅であること。
4.相続開始の直前まで被相続人の他に同居人がいなかったこと。
5.平成28年4月1日から平成31年12月31日までに売却(譲渡)すること。
6.相続の開始日から3年を経過する日が属する年の12月31日までに売却(譲渡)すること。
7.売却(譲渡)価格が1億円以下であること。
8.現行の耐震基準を満たしたリフォームを行ったあとで、敷地とともに売却(譲渡)すること。
9.空き家を解体して敷地のみを売却(譲渡)する場合は、相続後から売却(譲渡)までの間に相続人が事業用地として提供したり、貸し出したりしていないこと。
自治体によっては、空き家の除去(解体)や改修に対して助成金が出ることもあります。
そのため、自治体が実施している助成金制度を調べてみることをおすすめします。
助成金額は、除去(解体)や改修に掛かる費用の何割かを支援したり、建築物や敷地の広さに対して支援金額を設定したりする制度を採用している自治体が多いようです。
適用されるメリット
譲渡所得の計算方法は以下になります。
譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除 = 譲渡所得
※取得費が不明の場合は「譲渡収入金額×5%」で計算
<下記の条件の場合>
・所有期間(被相続人から継続) 6年
・取得費(購入に掛かった費用) 1億円
・譲渡費用(売却に掛かった費用)500万円
・譲渡収入金額(売却による収入)1億5,000万円
■特別控除なしの場合
1億5,000万円-(1億円+500万円)=4,500万円
所有期間が6年なので長期譲渡取得となり、税額は以下のように計算されます。
※2017年6月現在
・所得税:4,500万円×15%=675万円
・復興特別所得税:675万円×2.1%=14万1,750円
・住民税:4,500万円×5%=225万円
税額は914万1,750円となります。
■特別控除ありの場合
1億5,000万円-(1億円+500万円)-3,000万円=1,500万円
・所得税:1,500万円×15%=225万円
・復興特別所得税:225万円×2.1%=4万7,250円
・住民税:1,500万円×5%=75万円
税額は304万7,250円となります。
今回の例の場合、特例措置を適用することで税額に600万円程度の差が出るということが分かります。適用されるメリットは非常に大きいと言えるでしょう。
おわりに
(平成29年6月)
-
実際にご利用された方の声をご参考ください。
-
気になる舞台裏をご紹介。
-
・コンサルティングサービス
お役立ち不動産コラム
相続税対策のご相談
売買に伴う税金無料相談
遊休地有効活用のご相談
底地借地問題のご相談
耐震性能や土壌汚染の診断
・仲介サポート
住宅ローンシミュレーター
住宅ローン
マンション設備検査・保証キャンペーン
損害保険
引っ越しサービス
ホームセキュリティ
不動産マーケット動向