土地の境界確認と筆界特定制度
前回、『公簿売買』と『実測売買』につきまして執筆いたしました。
2回目の今回は『実測売買』や土地を分割する『土地分筆登記』等の登記申請の際に必要となる『土地の境界確認』、
そして境界立会確認ができない場合の解決方法の一つである、『筆界特定制度』について
お話しいたします。
土地の境界確認
まずは、対象となる土地の測量を行い法務局や役所に
備え付けられている図面等の資料と照らし合わせ土地家屋調査士等が境界を確認します。
その後、隣接土地所有者の方々に対象土地にて立ち会いをお願いし境界について確認を
して頂きます。
その際、コンクリート杭や金属プレート等、隣接土地との境界を示すものと認められる『境界標』が設置されている場合はそれらの確認をして頂き、『境界標』が設置されていない場合は、測量器械等にてその位置を示した上で確認をして頂き、その後『境界標』を設置します。
立ち会い後、前述の『境界標』の写真や位置を示した図面等を添付した『土地境界確認書』に各々が署名・捺印を行った上、持ちあうことになります。
以上が隣接土地所有者の方々との境界確認作業となります。
また、対象土地が都や区・市が管理している道路と接している場合は、各関係官公署への境界確認申請を行った上、官公署を含めた関係者との立ち会いや書類への署名・捺印等が別途必要となります。
上記作業を全て行うことで、はじめて対象土地全体の境界確認が完了し、『実測売買』や『土地分筆登記』等の登記申請が行われます。
その他、将来的な境界の紛争をあらかじめ防止する為に境界確認を行うことも財産の保全となりますので、
ご検討されてみてはいかがでしょうか。
筆界特定制度
業務を行っていますと、様々な理由で境界立会確認ができない場合があります。
そのひとつに、隣接土地所有者やその相続人の所在が不明の場合があげられます。
例えば、現在都道や区道として管理されている土地(道路)の所有権が、昭和初期頃に取得された個人名義等のままになっている場合です。
その道路(私道)の所有者に境界立会確認のお願いを郵送等で通知をしても、その住所地にお住まいでない場合や既に亡くなられているといった場合が多々あります。
そのような場合、住民票や戸籍謄本を土地家屋調査士の職権にて役所より取得し、現住所や相続人の調査を行います。
それらの調査の結果、所有者やその相続人と境界立会確認を行えればよいのですが、
住所移転がなされた後の閉鎖された住民票の保存期間(通常5年間)の関係や、本籍が不明のため戸籍謄本が取得できず、所有者やその相続人が判明しない場合もあります。
また上記の場合の他に、隣接土地所有者の境界に対する認識が相違している場合や、
隣接土地所有者と先代より不仲である場合等の理由により、「境界立会確認」や「土地境界確認書取交し」ができない場合があります。
そのような場合に、『筆界特定制度』を利用し境界を特定する方法があります。
『筆界特定制度』とは、
新たに筆界を決めることではなく、実地調査や測量を含む様々な調査を行った上、もともとあった筆界を筆界特定登記官が明らかにすることです。
『筆界特定制度』を活用することによって、公的な判断として筆界を明らかにできるため、隣接土地所有者等の所在が不明の場合や、隣接土地所有者等と裁判をしなくても筆界をめぐる問題の解決を図ることができます。
『筆界特定制度』の申請は、土地の所有者として登記されている人やその相続人などが、対象となる土地の所在地を管轄する法務局または地方法務局の筆界特定登記官に対して申請します。
申請の際、申請手数料の他、現地における筆界調査で測量を要する場合には、測量費用を負担する必要があり、判断までにおよそ半年から一年の期間がかかりますが、裁判に比べて費用や期間がかからないことが特徴です。
隣接土地所有者との境界に関する問題等でお悩みの場合は、裁判の前に『筆界特定制度』の申請を検討されることをお勧めします。
『土地の境界確認』や『筆界特定制度』の申請に関するご相談は土地家屋調査士が承ります。
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執筆者 |
新宿合同事務所 代表 堀口 正義 | |
経歴 | |
法政大学工学部建築学科卒業後、三井建設(株)勤務、
その後野村不動産㈱・野村不動産アーバンネット ㈱勤務を経て土地家屋調査士法人勤務 そして「新宿合同事務所」を設立、開業4年目を迎える。 |
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